拉致事件に対する政策とは?

北朝鮮による日本人拉致事件の真相に迫る! 第七部

一番の問題は果たしてどのようにしたら北朝鮮に拉致という事実を認めさせるかでした。拉致被害者の何人かが帰国出来ることはわかっていましたが(ですから訪朝団と一緒に帰国しています。北朝鮮側があらかじめピョンヤンに呼び寄せていたということです)果たして他の被害者はどうなのか、拉致被害という事実を認めるのか、これは訪朝しての交渉となりました。あらゆることを想定し、綿密な戦略がねられました。

まさか毒など盛られるわけはありませんが、敢えておにぎりという食事も用意し接待を断り(これは外交からすると極めて異例なことであり、北朝鮮側もこれは簡単にはいかないなと思った筈です)、盗聴器に備えお互い筆談しながら、のんびりとした話題を随行者に話させるとか、どのタイミングで小泉元総理が「これでは話にならん」と怒鳴り、安倍幹事長は「継続ということで帰国しましょう」と応答するとか、日本側からは絶対に支援の内容は言わないというようなことです。

こちらから支援内容を言えば、こうしてやるからこうして欲しいというお願いになってしまいます。日本側に一切の瑕疵はありません。北朝鮮に100%の非があるわけですから、北朝鮮の誠意によりお土産も変わりますよというのが交渉です。そんなことは北朝鮮側もわかりますから、出来るだけの支援が喉から手が出るほど欲しいのですから、最大限の譲歩は出さざるを得ません。

こうした戦略により、最大の「北朝鮮による拉致事案を認めさせる」目的は達したのです。

しかし、拉致被害者17人、8人死亡の4人未入国は想定外でした。小泉総理も数分間声も出なかったようです。これをマスコミは沈黙の何とかといいますが、その沈黙も戦略です。黙っていれば不満ということは相手に伝わります。黙ったままでいればせっかく進んだ内容を北朝鮮から放棄してしまうことになります。この沈黙が後の第一次安倍政権時代の「継続して調査する」という北朝鮮側の言葉となるのです。そして取りあえずということで、北朝鮮による拉致事案についての共同発表になり、北朝鮮の顔もたてられました。

◎つまり現在の北朝鮮による日本人拉致事件は、両国で一応の解決となりましたが、北朝鮮による調査の結果がずさん過ぎて日本としては受け入れられない、そして北朝鮮側もそれでは再調査をしましょう、ということなのです。こうしたことを明確に認識しておく必要があります。

ですから日本としては8人の死亡も4人の未入国も認められず、拉致事案は解決していないという立場になります。

上記の認識をしっかり持っていなかったのか、理解も出来なかったのか、動き出したのが民主党なのです。小泉政権の北朝鮮による拉致被害者の帰国による支持率の大幅上昇を甘い汁と考え、たいした戦略も立てずに拉致被害者の帰国を計画したのです。上記の認識のないまま拉致被害者を返せ、の主張は北朝鮮側にとっては、何の根拠をもって言うのかとなってしまいます。また、どうか拉致被害者を返してくださいとなればお願いということになり、北朝鮮側としてはお願いをするなら当然お願いの見返りは何ですか、ということになります。

小泉政権下、皆さんも御記憶にあるでしょうが日本に北朝鮮の金正男氏があらわれました。私はいろいろな意味を込めて正男さんと呼びます。この正男さんは報道では正男さん一人が映し出されていました。誰も一人で来日したとは思わないでしょう。一人でのディズニーランドでは寂しすぎると思います。

当然奥さんと思われる女性も、子供さんではないかと思われる家族が一緒でした。警備も含めた同伴者も数人いることも当然のことです。ディズニーランド近くのホテルも予約してありました。日本の成田空港に着いて始めてわかったことではありません。当然搭乗地の某空港からも連絡は入っていました。

この入国の目的はあくまで家族でのディズニーランドという観光目的の旅行でした。正男さんはこの来日以前にも日本に入国したことがあり、赤坂の韓国クラブでの思いでも語っており、日本のよさを理解している人だと思います。

正男さん来日の情報を受け、法務省、外務省、政府そして警察等は限られた時間でそれなりの対応を協議しています。にもかかわらず当時の田中真紀子外務大臣は独自の判断で国外退去の処理をしてしまいました。報道ではややこしい人物を拘束することとか事情聴取はとてもできないということでした。果たしてそれが日本の外交戦略でしょうか。

ある程度日本を理解している正男さんです、わかっているからこその日本のディズニーランドであり、敢えて香港のディズニーランドではなく日本を選んでいるのです。それを察知している北朝鮮は何か日本側の策略があってはいけないと判断し、同様に判断した中共政府から田中真紀子外務大臣に連絡し国外退去という処置をとらさせたと言われているのが真実だと思います。

それではどうしたらよかったのか、日本側は当然外務省、法務省、警察そして政府は、一応の拘束という範囲内で最大限のおもてなしを戦略として描いたと思われます。次の指導者かも知れない北朝鮮の最重要人物の一人であることは言うまでもありません。それなりの立場の同伴者もいます。一切政治的話も拉致に関しても言わず、どうぞ日本をお楽しみくださいということです。

それくらいの法規的措置は法務省としてはあくまで拘束という範囲内でのことであれば問題はないと思われます。正男さん以下が恩義を感じるかどうかは関係ありませんが、けして不愉快ということではないということは国外退去に比べれば大きな差はあると思います。少なくとも正男さんからすれば日本政府に借りが出来たとは思うことは間違いないと思います。内閣官房費からのおもてなしである滞在経費の一千万円程度なら重要な正男さんとのパイプ作りと思えばけして無駄ではなかったと思います。

せっかくのパイプ作りの大きなチャンスを逃してしまいました。こうした外交戦略の判断も出来ない外務大臣は辞任となり、この時点で自民党とはいえなくなったと思います。簡単に中共に言われて国外退去にするという日本の国益も理解できない政治家は民主党に移っても要職には着いていませんでした。民主政権での人事で外務委員長に就任したということは、当時の外務官僚も沢山まだ在籍しており軋轢が予想されました。にもかかわらず、このような人事をあえてした野田当時総理の腹のうちが見え隠れしているのではないでしょうか。田中真紀子議員の中共人脈目当てということはみえみえでした。

第八部へ続く

 

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